だるまづくりは、農家の手仕事として、冬の農閑期を利用して行なわれてきました。しかし、1970年代頃から、生地づくりの機械化が進み、大量生産が可能になりました。 伝統的なだるまづくりと、現在のだるまづくりを比較してみましょう。
以前、日本テレビにてだるまの製造過程が紹介されました。その際の映像をこちらからご覧いただけます。だるまの製造の様子がとてもよくわかりますので、ぜひご覧ください。
1.生地づくり
真空成形のようす
かつては手作業で、だるまの木型に一枚一枚、材料の紙を張っていきました。木型全体に張り終わったら天日乾燥させ、その後だるまの背を割って、中の木型を取り出し、切れ目を膠(にかわ)で張り合わせるという手間のかかる作業です。
現在は真空成形という方法が中心。紙を溶かした水槽にだるまの型を入れ、水分をコンプレッサーで吸い出し、固まったら取り出して天日乾燥。 これで一気に生地ができあがります。だるまの底にはヘッタとよばれるおもりをつけ、「起き上がり小法師」と同様に、倒しても自分で起き上がる機能を持たせます。
2.着色
着色作業の様子
生地が出来上がったら、着色作業に入ります。
まずは下塗りとして、だるま全体に胡粉(貝を焼いた白い粉)を塗り、続いて赤塗りをします。かつては刷毛で一つひとつ塗っていましたが、現在は塗料の入った容器の中にだるまを浸して着色したり、スプレーで吹きつけたりします。また、昔は赤い顔料を使っていたため、変色しやすかったのですが、今では油性のラッカーを塗るため、光沢があり、色落ちも少なくなりました。
3.顔描き
顔描きの様子
この作業だけは昔も今も同じで、一つひとつ手作業で行なわれます。
まずはだるまの目の回りにぼかしを入れ、白目を塗り、小鼻と口を描きます。その後、胴に金彩を施し、「福入り」「家内安全」などの文字を描きます。最後に墨汁でマユとヒゲを描いて仕上げとなります。